母の 部屋をノックして 花束とヨーグルト プリンを私は背後に隠し 入って行った。
母が 懸命に起き上がろうと
ベッドの枠に 細くなった腕を伸ばして
少し 痩せた様だけれど
私の名前を 読んでくれて どうしたの?
私は母上~ ~~~と 飛びついた
ご免なさいね ちょっと風邪を引いてね
移すと大変だから 来れなかったのよ
寂しかった?
母は そう 急に 居なくなったから心配してたのよ うん 寂しかったけれど大丈夫よと
私を 労って呉れた。
さぁ! お口を綺麗にして お顔 手足を拭きましょうね
私は 思っていた母より しっかりした受け答えに安堵して 丁寧に 口腔ケアーをしてから 熱々のお湯で 冷めて寒くない様に 気を付けながら 母に 温泉に入っているみたいね! 気持ち良いわね?
母は 暖かい 暖かい うんと
笑顔を 見せて呉れた。
可愛い笑顔に 良い香り
母上~~~ 本当に もうすぐ お家に帰れるわよ! 本当に本当に 可哀想な目に遭わせて ご免なさい 本当に頑張って呉れて
女神様みたいね!!
母は 嬉しいわ!本当に?
女神様? ふふっ 久しぶりに母の笑い声も聞いて 幸せな瞬間だった。
今は 余命
何もかも忘れて 母と 少しでも明るく笑顔の時を過ごそうと はい!お花のプレゼントよ!と 母は 凄いわね でも 勿体ないわ
有り難うと 目を細めて
私の頭を 撫でてくれた!
小さな頃に戻り 嬉しい!幸せよ!と
母の頬に キスをした。
早く 退院日の結果の電話が鳴らないかしら?
頭の中では せっかちになっていた私。
ベッドの上半身を上げて 誤嚥を防ぐのが大切
しっかり 確保し 母に前掛けをして
プリンを 半介助で食べて貰いながら
私も!お腹すいたわ 一緒に食べたいわ!
と 美味しいわよ と 母が 薦めて呉れた。
この穏やかな 楽しい幸せな時間が
長く長く 続きます様に 母の笑顔を
スマホを 取り出し 私は沢山 映した!
今迄の中で 一番 顔色もよく 本当に美しい母で 嬉しかった。
私も 一緒にと 自撮りを連写した。
母は
スマホを
覗き 私を誉め 自分を変な顔ねと
二人で 吹き出して 笑っていた。
本当に 強く 前向きな 寛大な母に
感謝し 心底敬服し 同時に母の命を必ず
守ると 自分の志を強めた。
さあ! 皮膚炎の薬を塗りますよ
クリーム塗って マッサージするからね!
明るい 大きな声で 母に話し
疲れては 居ない?と 確認した。
マッサージしながら 私が 二人の愛唱歌を
歌うと 母もハミングして呉れた。
やはり 寂しかったのだろう
はしゃぎ 嬉しそうな母。
今夜は速めに寝かせて あげたい
ずっと 二人で 起きていたいけれど
そう 思った。
母上 本当に有り難うね
繰り返し 私は呟いていた。
#最終期
#在宅介護
#誤嚥性肺炎