母は 心の中で 足の打ち身が日毎に治る!
きっと又歩ける日がやって来る……
そう 私の嘘を 私を疑う事のない 純真な瞳を輝かせていた。
聖夜 当に母に相応しい日だ
私は 母の一挙士一等即の動きを 全て脳裏に焼き付けたく 母の目の前に置いた 8の文字の蝋燭と
メリークリスマスの チョコボードの横に
綺麗に 長い蝋燭を8本 祈りながら 刺してから
ゆっくり 灯りを ともしていった。
沢山のカラフルな蝋燭の灯り
私は照明を落とし 母の肩を抱いた。
母と 同時に 今日も綺麗ね~ 素敵ね。
私は 母の肩を揉みながら
♪きよし この夜♪を 歌い始めた。
母も 幸せそうに ハミングしたり 一緒に
歌ってくれた。
凄いご馳走ね~ プレゼント迄あるの?
お手紙も 書いて呉れたの?
まぁ 凄い 凄いわね
勿体ないみたいよ と 私に 幾度もお礼を
言って 貴女も 座って
ゆっくりしなさいね。
いつもの 心配りまで 優しく穏やかな気持ちに
なりながら 本当に 寂しさや 申し訳なさが
私の胸を刺した………
母に少し介添えしながら エプロンを忘れてしまったわ! 今 持って来るわね。
私は キッチンで 冷たい水を飲んで
頭を冷やした。
母上~ お写真 撮っても良いかしら?
蝋燭を 消す前に 綺麗だもの。
母は ちよんと 笑顔で カメラレンズを
見て 優しく笑みを浮かべて呉れた。
BGMに クリスマスsong 讃美歌を流して
楽しい 思い出話を 母に 目一杯 私は 語り続けた。
母は 気を付けながら ゆっくり ハンバーグから口にして 美味しくわね。
本当に 凄いご馳走ね~と 丁寧に味わい 丁寧に
まっすぐ 飲み込んで呉れた。
私は やはり 誤嚥しません様に と母の後ろに 立ち 身体を支えたり 母の顔を
しっかり見たくて 自分の椅子に座り
私も 頂きまーす♪と 明るくケーキを
口にした。
母との思い出が沢山 詰まった銀座のケーキ。
母も 懐かしいわね……と 楽しそうに
お喋りをして呉れた。
私は 母の顔色や 腰 お尻の辺りを触り
大丈夫?と 訪ね 母は 頷いて
少しずつ あれこれ 口にして呉れた。
やはり ケーキ フルーツ ハンバーグは
薬の苦さも 薄れ 食べ易く 好評で
嬉しかった。
2日連続して イブ 聖夜を 笑顔で 私を安心させようと頑張って呉れた 慈悲深い母。
私は 深く有り難うと お辞儀をしたら
母のオデコに 私のオデコが 軽く ぶつかり
母は 優し私の頭を細い腕 弱い力の指で
愛情一杯に なぜて呉れた。
母は なんて 素晴らしいのだろうか……
私は まだまだ頑張る
と 決意を更に更に 強め 亡き父に 神様に
祈りを深めて居た。
私が 母をお部屋に ゆっくり 車椅子を押して
ベッドに移乗させようとしたら
母は ね! 少し 此処でお話しない? ね!
と 不意をつかれた様に
まるで病人ではない 痴呆 物忘れ等 全くない 現役時代の 美しくも凛とした母が ………
車椅子に姿勢良く座り 私の目を真っ直ぐに
見た。
母は私に確かめたい事でもあるねか?と
ドキドキしながら え? こんな所で良いの?
リビングに 戻りましょうと
返事をしたけれど 母は 此処が良いのよ…と。
私は 動揺を見せずに 明るく元気に
じゃあ、 私が母上のベッドに座って良いかしら?と 無邪気に 笑ってみせた。
母は 自分の部屋を見渡し 特に話を切り出さない。 母上 寒くない?風邪引いたら大変よ 私が 羽織りを手にすると 大丈夫
暖かいから と笑顔だ。
私は 幼い頃からの 思い出を語り始め 母に
お礼や 嬉しかった事 楽しかった事を告げた。
母は うん うん
そうだったわね。
沢山 二人して頑張り 二人して楽しかったわね…と 私の顔を見て居る。
私は どうしたの?
何か お話しじゃないの? 心配事?
と 聞いても 母は 首を横にふった。
私は 何かを感じとり 母の足元にゆき
母の膝に 顔を そっと 埋めた。
母上 ご免なさい どうしたら……
どうしたら 母を元の身体に戻せるの………
心の中で 泣きながら繰り返し
笑顔を作って もう 真夜中よ。
私は 母上の ベッドの横に寝るから
今夜は ぐっすりと 休んでね
と
母に、やるべき事を 負荷の掛からぬ様に
気を付けながら 手早く済ませて
母の横に 私はコートを着て
横たわった。
この2日間 本当に夢を見た様な 現実だったのか?と 私は 母の顔を 見上げた。
母は 疲労しているのに
私の身体を案じながら 寒くないの?
無理は駄目よ 本当に楽しかったわね
と
私を見下ろしながら
自分の毛布を
必死に 私に掛けて呉れようと 少しずつ
毛布を 私に………
母上が 風邪を 引くわ!
私はコート迄 着ているから大丈夫よ と
言いながら 母の手を握って
知らず知らずに 寝てしまった。
はっ!と 目を覚ますと母の毛布の半分以上が
私の上に。
私が 眠った姿を見た母は 更に 眠らずに
私の身体を守る為に 必死に頑張って居て呉れたのだ……
私は 声に出して 母上、どうも有り難うね。
母上 こんな事をしたら
取り返しが つかなくなるのに………
母上
直ぐ様 母に暖かい寝具 毛布もかけ直し
母の身体を 優しく擦り続けた。
母は 深い眠りに落ちて居た。
本当に 愛しく 私は ずっと
母の手を握りしめ 有り難うを 繰り返し
朝陽が 射して来た。
母上 この2日間
私が親孝行したかったのに
母上が 私に幸せな時間を沢山呉れたのね…
大声で 母を抱き締めて 伝えたかった。
又 嗚咽しそうに なる自分に叱咤して
1日の始まりを 私は 力強く 開始した。
母上の愛情 ケシテ!忘れない。
無駄にしてはならない。
頑張れ!!私。
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